チームオレンジ

サポーターら活躍の場

本人の社会参加も促進

 認知症になっても地域で自分らしく暮らしたいー。そんな願いをかなえるため、地域の認知症サポーターらがチームを組んで認知症の本人や家族を支える「チームオレンジ」の仕組みづくりが始まっています。

 チームには認知症の本人もメンバーの一員として参加。当事者の社会参加の場としても期待されています。県内で活動するチームオレンジの取り組みを紹介します。

 

住民集う通いの場

 見守りや運営担う

 チームオレンジは認知症の本人や家族の悩みやニーズを踏まえ、認知症サポーターらが中心となって支援につなぐ仕組み。チームにはコーディネーターが配置され、地域で働いたり、暮らしたりしているサポーターと当事者らをマッチングします。地域の生活に関わる企業などとの連携も図ります=図参照=。




 国は2019年の「認知症施策推進大綱」で25年までに全ての市町村でこうした仕組みを整備するよう求めています。認知症サポーターが増える中、新たに力をふるう場として期待されていますが、県によると、県内で設置済みは、21年3月時点で新発田、小千谷、胎内の3市。燕市など13市村が整備を進めています。

 このうち、新発田市では、市高齢福祉課と市内5カ所の地域包括支援センターに認知症地域支援推進員を配置。それぞれがコーディネーターとして各地でチームの活動に取り組んでいます。チームメンバーを担うのは市内に79人いる「認知症地域支え合いメイト」です。

 メイトは、認知症サポーター養成講座に加えて市独自の講座を修了した地域ボランティア。これまでにも高齢者の見守りやオレンジカフェ(認知症カフェ)の運営などを担ってきたことがチームオレンジの土台になりました。

 11月に新発田市の川東コミュニティセンターで開かれたオレンジカフェ「みんなの茶の間」では講話や工作のほか、当事者によるハーモニカ演奏も行われ、会場は和やかな雰囲気に包まれました。メイトは参加者に交じり、困っている人がいないか目を配ったり、声を掛けたりして運営をフォローします。島津ゆり子さん(72)=石喜=は「お互いさまの気持ちでやっている。自分の生きがいになるし、人のためにもなる」と語ります。老人クラブなどでも活動の輪を広げたいと意気込んでいます。

 主催する新発田東地域包括支援センター社会福祉士で認知症地域支援推進員の小川和俊さん(41)は「誰もが分け隔てなく楽しめ、お互いに助けられる関係づくりをしたい」と強調。「認知症になっても生きがいを持ち、役に立てているという実感を持てることが誰もが住みやすい地域づくりにつながるのではないか」と話していました。



当事者の思い実現

「水平な関係」重要

 チームオレンジでは当事者も地域を支える一員として活躍し、社会参加を後押しすることが重要とされています。

 胎内市の「チームオレンジたいない」は昨年9月から、認知症地域支援推進員がコーディネーターとなり、認知症サポーターフォローアップ講座の修了者らと活動を開始。当事者のやりたいことを聞いたり、共に話し合ったりしながら実現することに重点を置いています。大切にしているのは当事者とサポーターの「壁のない、水平な関係」です。

 例えば、そば屋の職人だった人の「そばを打って食べてもらいたい」という希望。6月には当事者が先生役となり、そば打ちを楽しみました。本人からは「幸せだった」との声が聞かれたそうです。

 「地域によっても当事者が求めていることは違う。1人を通して地域の課題も見えてくる」と胎内市の認知症地域支援推進員でコーディネーター養成などを担う「オレンジ・チューター」でもある新野直紀さん(51)は力を込めます。地域には認知症だけでなく、さまざまな病気や障害を抱えた人や引きこもりの人もいます。推進員の柳沼裕子さん(48)は「チームオレンジを認知症だけでない地域共生の取り組みとして活用していきたい」と話します。

 県高齢福祉保健課はチームオレンジについて「着実に広がっている。県もチームの活動に役立つ情報提供を通して市町村を支援したい」としています。

 

本格的なそば打ちを楽しんだイベント(チームオレンジたいない提供)